48時間以内の手術|姫路市の夢前川駅より徒歩5分の整形外科|さとう整形外科

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48時間以内の手術

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2026年8月09日

晴れの日が続きます。当院の花たちは少し水やりをサボるとすぐにしおれてしまいます。水遣りのために休みの日でも病院に行っていると花たちに操作されている気がしてきます。夕立でも降らないかな…と期待してしまいます。

今回は先日お話した大腿骨近位部骨折について以前の病院で調べたネタを掲載してみます。

大腿骨近位部骨折に基本的には手術で治療することは前回述べましたが、早期の手術加療が望ましいと提唱されています。早期手術によって歩けない期間が減ることでリハビリでの回復も早くなりますし、臥床によって生じる様々な合併症も減りますし、骨折で痛みが強い時間を減らすことは良いことではあると思います。受傷から48時間以内に手術加療できた症例に対して加算される制度もあり、国としても早期手術は推奨しているようです。術後1年死亡率が優位に低下することや、静脈血栓症等の術後合併症の発生率の低下が報告されています。以前に赴任していた病院では48時間以内の手術加算を申請しており、実際にどの程度の割合で48時間以内が達成できていたのか、時間がかかる要因がどこにあったか、合併症の有無等を調査しました。

結果です。細かな数字は出しませんが、約半分程度の症例で48時間以内の手術が達成できていました。達成率の低い要因を精査したところ、週末に来院されていることや勤務時間外手術を避けたことが挙げられました。

また、48時間以上を要した症例を分析すると受傷から48時間以上経過して来院された症例が一番多い要因になっていました。来院後に併存疾患のコントロールに時間を要した症例が続きました。COVID19の流行も手術室に入るのが遅れる原因になっていました。

考察です。早期手術を妨げる要因として患者側因子として既存症のコントロール、抗凝固薬、抗血小板薬の内服による待期期間の必要、受傷から時間経過して来院が挙げられます。一方、医療者側因子として手術室・麻酔科の確保困難や、他科の術前評価に時間を要すること、週末来院等の曜日の要因、時間外手術の制限が挙げられます。

医療者側因子に対しては工夫できる点であり、他科との密な連携により術前早期に安全に手術ができるかの評価や手術前後の動きについてのマニュアル(クリニカルパスと呼ばれます)作成による他職種との連携の強化などの対策は考えられます。

調査した病院は地域にある一番大きな総合病院で救急外来で他科コンサルトが可能であり、循環器内科についてはコンサルトすれば救急外来で心エコー評価をしていただけました。手術室・麻酔科も非常に協力的であり、予定手術の合間に緊急手術の対応をしていただいていました。時間外手術件数を増やせば達成率は上がるかもしれませんが、時間外労働は増える可能性があります。

早期手術の安全性について考えますと早期手術を目指すために術前のリスク評価が十分にできていなかった等の報告も散見されました。早期手術のために時間外手術件数を増やせば周術期のリスクは増える可能性は考える必要があります。

48時間以内の手術を達成するために一番有効な対策は専門チームを作ることかな、と個人的には考えます。ある程度大きな総合病院で大腿骨近位部骨折に対応する専門のチームを作り、24時間体制でシフトを決めて手術、麻酔、術前検査、術後管理ができる体制を整えれば達成率は上がると思います。実際にイギリスやドイツでは大腿骨近位部骨折を専門で対応する病院を地域に作り早期手術を達成できているそうです。日本にもそういう制度があったらいいのにと思いますが、行政主導でないとできないそうです。各病院ごとに達成しようとすると時間外手術が増えて働き方改革と衝突します。(この調査をしたのも医師の働き方改革が声高になってきた頃で、時間外手術をたくさんやっていると産業医から注意をもらっていました。)

こんな研究をして発表したりしていました。どうやって早く手術室に患者さんを入れようか考えていたあの頃が懐かしいですね。当院としては早期手術の達成に協力できることとしては大腿骨近位部骨折の患者を見逃さないようにして、診断後は早期に手術できる病院に搬送することになりそうです。転倒後、股関節の痛みで歩きにくさを感じたり歩けなくなった方がいれば当院にご相談ください。

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