2026年7月30日

毎日暑いですね!当院のひまわりは日差しを浴びてぐんぐんと成長し、開花が始まっております。駐車場の片隅に植えてみましたが、ちゃんと育つものですね。

前回骨粗鬆症についてお話しました。今回はその中に少し出てきた、大腿骨近位部骨折についてお話します。大腿骨近位部骨折は骨粗鬆症と関わりが深く、転倒などの軽微な外力で発症するのは骨粗鬆症のご高齢の方に多いといわれています。転倒だけでなく、勢いよく椅子に腰かける動作なども起因となり、股関節周囲の痛みで歩けなくなったと多くの場合は救急車で搬送されます。

骨折しやすい場所は大腿骨(太ももの骨)近位部で3カ所あり、①頸部②転子部③転子下となります。右の図で示しているような位置関係になります。
部位ごとに治療方針が異なるためこの3つに分類されます。①と②が大部分で③は比較的少ないです。
①の頸部は関節包という袋の中で骨折が生じるため出血が少なく、腫れも少ないことがあります。受傷直後は骨折部のズレが少なく、レントゲンでわからないこともあります。完全骨折でなければ股関節の痛みはあっても何とか歩いて病院を受診されることもあります。
頸部と名前がついているように大腿骨のボールの部分の骨頭に血流を送る血管が走っている場所でもあります。ズレが少なければ血流が保たれているためスクリュー等を用いた骨接合術(骨折したところを動かないように強固な固定を行う手術)の適応になります。ズレが大い症例に骨接合術を行うと術後に血流障害を生じて骨頭壊死を起こしてしまうので人工骨頭置換術(折れた骨頭を取り除いてインプラントを挿入する方法)の適応になります。
②の転子部は関節外骨折のため出血も多く、受診時には太ももが腫れていることも多いです。救急車で搬送されてきて採血をすると貧血が進んでいて手術前に輸血を必要とすることもあります。
この骨折に対しての手術は骨接合術の適応になることが多いです。これまでの病院では髄内釘による内固定が多く行われていました。骨がずれにくい形に整復して骨の中に芯棒となる太い支柱とスクリューを通して体重を支えられる状態にする方法になります。
③の転子下も出血が多く、筋肉に引っ張られて骨が短縮して折れた方の足が短くなって搬送されることもあります。転子部と同じく髄内釘による内固定の適応となることが多いですが、整復することが難しく、大きな傷から骨の周りの筋肉をはがして何とか整復して髄内釘を挿入します。術中出血が多くなりやすい印象です。
どの手術も目標とするところは早期リハビリを開始して歩行能力を落とさないようにすることになります。これらの骨折は手術をしないと寝たきりになる可能性が高く、手術をしてリハビリをすることで受傷前の生活を取り戻せることを目指します。
これまで何例か心臓がとても悪く、麻酔をかけたり手術をすることが命の危険に繋がるからと手術できない患者さんの担当をしたことがあります。骨折部が動く時に痛みが強く、なかなか体を起こせず、リハビリを進めることが困難でした。ベッドから起きて車椅子に介助ありで移乗することは何とかできるようになりましたが、元の生活には戻れず、施設に退院されていきました。
以前いた病院で麻酔科の先生に「整形外科の手術は年齢の適応ってないんですか?(他の科では超高齢者には麻酔かけていませんよ…!)」と質問されたことがあり、「大腿骨近位部骨折に関しては年齢制限はないですね。(100歳を超えていても手術するのでお願いします!)」と答えたことがあります(()内はお互いの心の声です)。少し嫌な顔をされたような気がしますが、その後も何例もの超高齢者が手術をして歩いて自宅に退院されていきました。
当院では手術加療を行っておらず、もしこれらの骨折を見つけたら手術をできる病院に救急搬送をお願いすることになります。自宅や施設に帰ってからのリハビリや、術後の骨粗鬆症治療継続は当院でも対応します。
寝たきりにならず、自分の足で歩ける生活のお手伝いを引き続きさせていただきます。
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